上泉伊勢守ドラマ

2016.11.09 移香斎と激しい稽古

300

2016年11月9日は赤城山が初冠雪でした。その赤城山の懐にある三夜沢の赤城神社で終日、愛洲移香斎と上泉伊勢守の稽古風景が撮影されました。
撮影は本殿向かって右側の林の中と、左側の広場で行われました。伊勢守の服装は素足に草履、薄い袴と着物だけ。取り巻くスタッフは完全防寒、それでも震えている人がいます。シベリアからの強風が杉林の上を吹き過ぎゴーゴーと音を立てます。激しいときは風に吹きちぎられた杉の枝が、ばらばらと雨のように落ちてきます。村上さんは鬼神となって立ち、上下左右に木剣を振り「イヤァー」と気合を発します。
猫の目のように変わる風向きを見極めスタッフがスモークを炊きます。でも、これが難しい。「スモーク、今度は下手から流してください」。指示を出す助監督の声も震えがちです。「ハーイ」。遠くの木の陰からシュッシュッとスモークを炊く音が聞こえます。「スモークの流れを見ます、少し待ってください」。村上さんは木剣を提げたまま動きません。「ハーイ本番」「オーケー」。昼過ぎたころ、ようやく休憩になりました。この間約4時間、モニターやカメラを見...る時以外、誰も腰を下ろす人はいませんでした。
この日の昼食は峠の釜めしと峠の力餅。これは村上さんが差し入れてくれました。社務所前に長テーブルが置かれ、その上で制作部の柳沢さんが一人一人に昼食をセットして手渡してくれます。さらにその隣では上泉町睦会による大鍋2つの豚汁と甘酒がふるまわれました。温かいい物を食べてもらおうと前日から下ごしらえしておいたもので、スタッフも俳優さんも皆さん、冷え切った両手を暖めるため器を包むように持ち、鼻水をすすりながら食べていました。
この季節、午後になると風が吹くのは上州の常ですが、今日は朝から吹きまくり。午後になると風はさらに強く、気温も徐々に下がりました。広場に場所を移して、今度は伊勢守と移香斎の稽古シーン。移香斎役は勝野洋さん。勝野さんのいでたちは、一見ぼろをまとっているように見えますが、伊勢「愛洲の館」に展示されている愛洲移香斎の銅像によく似ています。
移香斎と出会い、力だけでは勝てないことを教えられ、激しい稽古を繰り返す中で、風を見て帆を張り船を操る陰流の極意を体得するシーンが見事に演じられました。

2016.11.08 ミスは伝染する?

300

2016年11月8日の撮影は中之条町の富沢家住宅で行われました。富沢家は月夜野と中之条を結ぶ大道峠の中間にある山奥の家です。18世紀に建てられた大型の養蚕農家(間口13間、奥行き7間)で国指定重要文化財になっています。

富沢家では、迫る北条軍から上泉城を守るためにどうするか、上泉伊勢守を中心にした戦評定の場面が撮影されました。評定には文五郎(石黒英雄さん)と神後(菊田大輔さん)が登場しました。

上泉伊勢守が北条に城を明け渡す決心をする重大な場面ですが、本番終了間際になってエキストラの一人が急にせき込んでしまいました。残念ですが仕切り直しです。次はうまくいくだろうと思っていたら、村上さんがセリフを間違えてしまいました。その次もまた同じ場所を間違えてしまい、たった2文字ですが、撮り直しです。村上さんは自分の「家来」たちに「すみません」と誤っています。さらに、村上さんがうまくいったのに、今度は伊勢守の一番弟子・文五郎が間違えてしまいました。寒さをこらえトイレも我慢してその場にいる役者やスタッフは、少しでも早く監督の「OK」の声を聞きたいところですが結局、このシーンは次の5回目にOKとなりました。

あくびがうつるということは聞いたことがありますが、緊張の糸が切れると、こんなこともあるのだなと思いました。最初にせき込んだエキストラは腹回りが130センチもある大きな人です。撮影後、「座るのは腹が苦しくなるのでつらいんだよね。あのときは自分にあと10秒のがまんと言い聞かせて我慢したけど、どうにもだめだった」と、照れ臭そうに心境を話してくれました。

ところで、映画界の用語にいろいろありますが、「てっぺん」もその一つです。これは撮影や作業が午前零時を過ぎることを言うそうです。時計の文字盤の一番上にあるからそう呼ぶのでしょうか。8日早朝から撮影するためには、前日のうちに室内装飾を済ませておかなければなりません。7日の準備作業はまさにその「てっぺん」だったそうです。時代設定を考えて撮影場所を作る作業は「装飾」の酒井さんたちです。てっぺんの作業を終えた装飾の人たちは一度、高崎市内の宿舎に帰りますが、88時からの撮影開始1時間前には富沢家に来て、作業を済ませていたのには驚きました。
(写真は富沢家です)

2016.11.07 ドラマ撮影 クランクイン

300

【寒さと緊張の中 クランクイン】
まずはクランクインの報告から。2016年11月7日は冬至、最初の撮影場所になった渋川市雙林寺には霜が降り今季一番の寒さとなりました。この日は寺の総門前に武田、上杉両陣営の陣幕を張り、各陣営の軍議と、山門の2階にある部屋で上泉伊勢守の座禅風景を撮りました。
 陣幕は3方が約5間幅の大きなものです。人がすっぽり隠れるほどの高さがあり、さらに3メートルほどもある幟旗が陣を取り巻くように林立しています。500年以上の歴史があり荘厳な雰囲気を持つ総門と相まって、雙林寺はまさに寺が創建された戦国の時代にタイムスリップしたようです。
 午前9時過ぎ、軍議の顔役がそろうと山中助監督が「本日より『上泉伊勢守』クランインします。よろしくお願いしまーす!」とあいさつ。一人ひとりの紹介に役者、スタッフ、ギャラリーから力強い拍手が送られました。すかさず「テスト、ヨーイ、スタート!」。普段は物静かな金佑彦監督の鋭い声が杉林に響きます。「スモーク炊きますか」「あった方がいいね」「じゃあスモーク炊きます」。山門の背後から陣幕へ霧が流れると再び金監督の「はいOK、本番いきます」の声が響きます。助監督とギャラリーの近くにいるスタッフも周囲の注意を促すように「ホンバーン」。寒さと緊張の中でいよいよ撮影が開始されました。
 主なキャストは愛洲移香斎(勝野洋)、長野業政(田中健)、武田晴信(原田龍二)、上杉憲政(岡田浩暉)、長尾景虎(山田純大)、文五郎(石黒英雄)さんたちですが、次回からキャストやスタッフの一言なども順次紹介していきたいと思います。

2016.11.06 ドラマ撮影が始まります

300

上泉伊勢守のテレビドラマ撮影が2016年11月7日(月)から撮影が始まります。主役の上泉伊勢守は村上弘明さん。伊勢守に密かに思いを寄せる女性に高島礼子さんが出演、2016年11月21日(月)まで県内各地で撮影を行います。来年2月ごろをめどにBS朝日で放送予定です。これから日々の撮影の様子をなるべく新しい情報でお届けしたいと思います。

16~19件目(最大19件)を表示